ルミ姉ブログ

聖徳大学司書課程の歩み&おすすめ本&暮らしのこと

司書資格取得の思い出②

教材が届いた後は、しばらくほったらかしにしていました。届いただけで満足というか。

ふと1か月くらいたって、しおりを改めて見直してみると、長期休暇のときのスクーリングのことも考え、計画的にレポート提出&試験をやっていかなかればならないと気づきました。すぐに全ての科目のスケジュールを一気に決めました。

レポート締め切りごとに1科目必ず提出し、毎回の試験日には必ず1科目受験できるように組み立て、計画通りに進めました。最短1年での取得は無理でしたが、1年半で取得できる計画でした。

前年度のスクーリングの日程を見て、長期休暇中のスケジュールも立てました。仕事はパートなので、日程の調整は大丈夫でした。また、スクーリングは朝から夕方まで一日中なので食事の準備などができないことが心配でしたが、家族はみんな応援してくれていて、私の母も手伝いに来てくれることになったので、何とかなりそうでした。

一度に全てのスケジュールを決めたので、ゴールが見えてやる気になり、取り組みやすかったです。これは本当にお薦めです。

司書資格取得の思い出①

聖徳大学で資格を取得したのは、自宅から近かったからです。

子育てもひと段落し、周りには資格を生かして保育士や看護師として働き始めるママ友・・・

当時レジ打ちパートをしていました。自分も何か一生働けるようなスキルが欲しい。本が好きだったこともあり、いつかは図書館で司書として働いてみたいと思い、いちばん近い聖徳の説明会に参加しました。どんな人が来ているのかな・・・

行ってみると、自分と同じくらいの年齢らしき女性が多数参加していました。その時は司書だけでなく、さまざまな資格を紹介していたと思いますが、この年になってもう一度勉強したいと思う方が多数いるんだな、と思い勇気づけられました。

大学を卒業し、社会人になったときは、電車の中吊りなどで聖徳が社会人向け講座などを開いていることを知りましたが、当時はもう二度と勉強したくない、大人になって勉強する人なんているの?なんて思っていたけど、今なら分かります。もう一度人生やり直したくなります。

大卒なら司書に関する単位だけとれば資格は得られます。

自分にできるかしら・・・と迷いはありましたが、勢いで飛び込んでしまえーと思って、パート代をなげうって受講を始めました。

図書館制度・経営論 第2課題

<第1設題 「公立図書館の任務と目標」を読み、考えるところを述べなさい>

 

 はじめに

 2004年に改訂された「公立図書館の任務と目標」第1章1の文末で「公立図書館は地方公共団体が直接経営すべきものであり、図書館の運営を他へ委託すべきではない」としている。(参照①)2003年、地方自治法改正により指定管理者制度が導入された。営利を目的とする民間企業が公の施設を管理できることになり、指定管理者制度の導入に踏み切る自治体が出てきた。しかし「任務と目標」では委託を推奨していないのはなぜか。今後の図書館運営のあり方を考える。

指定管理者制度の問題点

 「任務と目標」の解説文では、「図書館サービスの提供と創造における公的責任が大きく後退する考え方」とし、「サービス内容を契約の枠内にとどめ」「創意工夫に富んだサービスの展開を構造上制約することになる」としている。(参照②)

 具体的には以下のようなことが挙げられる。

①図書館間の連携・協力やネットワーク化の整備が効果的に達成できない

②短期間で事業者が変われば、安定した継続性の維持が困難

③図書館政策を策定し、指定管理者を監督する部署が空洞化するため、図書館業務に精通する職員がいなくなる

④職員は低賃金を余儀なくされる

⑤利益を生み出さない活動(おはなし会や地域資料の収集など)を積極的に展開しない

⑥「無料の原則」から、経済的利益を生み出すことは難しい

 このようなことから2011年、片山総務大臣指定管理者制度を公立図書館に「なじまない」と発言した。同年度の調査で、図書館の指定管理者制度導入率は10.6%で、他の社会教育施設に比べて低い。(参照③)サービス水準の向上や職員の安定雇用を見込めないという観点から、導入を見送っている自治体もある。

・進む指定管理者制度の導入

 「任務と目標」の解説文で、「職員定数の削減が必須なものとして迫られる厳しい状況下で、司書資格を有する職員を確保するための苦衷の方策として、委託や派遣を選択するほかない、との声も聞かれる」としている。企業の経営ノウハウを生かした経費削減効果で、公務員でなくとも非常勤などで司書を雇用して、司書の配置率を上げたり、夜間休日に開館するサービスができたりして、住民サービスの一定の向上が見られることから、今後も指定管理者制度の導入は進むと思われる。

 専門職としての司書を多数配置し、質の高いサービスを提供するためには、数年で異動となる公務員型の人事管理はなじまないという意見もある。高山正也氏は、「熟練・習熟した高度な専門能力を保持して、なお高い処遇の得られる道は、公務員型の人事管理からの脱却しかない」としている。(参照④)

 加えて高山氏は、「行政による直営にこだわるあまりに極端な保守的姿勢では、社会的な活動における新たな取り組みの芽をすべて摘むこととなり、制度的な進歩・発展を確保できなくなる恐れがある」と述べている。直営で運営を維持するならば、一般事務職と切り離した人事管理や、競争力の高い企業の経営やサービスのノウハウを取り入れていく必要があるのではないか。

 おわりに

 指定管理者制度が法制化し、図書館経営は官から民への過渡期にあると考えられる。今後、行政側から新たな人事制度や経費削減の努力が見られなければ、制度の導入は進むだろう。制度により参入した企業側も、導入されるにあたる懸念を払拭すべく、利益追求に捉われないサービスや雇用を展開し続けていかなかければ、制度自体を見直さなくてはならなくなるのではないか。

 

参考文献

参照①② 日本図書館協会図書館政策特別委員会編「公立図書館の任務と目標 解説」 日本図書館協会 2004年

参照③ 糸賀雅児・薬袋秀樹他「図書館制度・経営論」樹村房 2013年

参照④ 高山正也・南学監修「市場化の時代を生き抜く図書館」時事通信社 2007年

 

2018年1月提出、2月返却

 

<評価A>

 

※転載はご遠慮ください。

図書館制度・経営論 第1課題

<第1設題 図書館の二次的経営活動について述べなさい 

 

 はじめに

 図書館の経営活動として、貸出やレファレンス、資料の収集などの一次的経営活動に対し、それらを効率的に遂行するための二次的経営活動は組織・人事・予算・規則・建物・物品管理。広報などがある。その中でも組織・人事について採り上げる。公共図書館の司書の配置の現状と、優れた経営活動を行っている浦安市立図書館の取り組みをまとめ、今後の人事はどうあるべきかを考える。

公共図書館の司書の配置の現状

 1997年の「図書館年鑑」によれば、公立図書館の司書の配置率は51%である。図書館法に司書の義務設置の規定がないため、各公共図書館で司書の配置の割合はまちまちである。司書が1人もいない自治体もある。自治体の多くは、司書の採用は一般事務職として行われ、通常3年から5年で異動となる。浦安市立図書館元館長の常世田良氏は「昨日まで市民課に座っていた人が異動になってきて、という職員が多い図書館では、専門家としての判断をだしづらいのです。」(参照①)と述べているように、異動が行われる一般事務職としては、図書館のスペシャリストは育たないのである。

 加えて、非常勤職員や委託業者の職員が増加している。2002-4年の3年間で、専任職員は4.1%減、非常勤職員は10.6%の増加である。(参照②)司書職制度のない自治体の図書館では、常勤職員を削減し非常勤司書職員で補った結果、無資格の常勤職員と有資格の非常勤職員という逆転現象も起きている。これは「指導されるほうが指導する側よりも仕事に詳しい」(参照③)こととなり、組織の円滑な管理が難しくなっている。

 また、自治体の人員削減により、ボランティアの労力に依存する傾向がみられる。「あたかも無償のアルバイトとみなしているかのような風潮」(参照④)がある。ボランティアの善意の提供はよいことであるが、それを利用しコスト削減を図ったり、ボランティアの自己実現のためにサービスの質が低下したりするようなことがあってはならない。

浦安市立図書館の取り組み

 浦安市立図書館は2002年、貸出冊数が市民一人あたり12.79冊であった。全国平均4.18冊に比べてとても多い。同年の資料費は1億3千万円である。2004年時、正規司書職員39名と臨時司書職員で構成され、司書率はほぼ100%であった。(参照⑤)活気ある図書館を支えているのは豊富な人材なのである。

 この図書館では司書は「蔵書構成グループ」と「業務グループ」という組織に配され、3年ほどかけて専門的業務を行う。継続的に行うことによって、資料についての専門性の向上と、利用者からの要求をきめ細かく受け止める体制ができるのである。これは、一定の人数の司書が継続的に配置されなければできない。また、常世田氏が「専門官を雇うと税金の節約になります」(参照⑥)と述べるように、同じ数の職員がいたら、専門職のほうが熟練し、しかも短時間で業務をこなすことができる。司書という専門職を充実させることで、図書館は活性化されるのである。

 おわりに

 浦安市立図書館のように、高い専門性と意識を持った司書職員が継続して多数配置されていることで、質の高いサービスや効率の良い作業が実現していることが分かった。一方、異動のない職場環境でのマンネリ化も懸念される。外部の研修などでスキルアップを図りたい。教員のような域内図書館の異動が実現するとよいのではないか。公務員の人員削減などで非常勤職員や業務委託が進んでいるが、働き方も多様になっているので、非常勤司書職員もバランスよく配置し、そのうえでボランティアの協力を得るのがよいだろう。

参考文献

参照①④⑥ 常世田良著「浦安図書館にできること」勁草書房 2003年

参照②③ 柳与志夫著「図書館経営論」学文社 2007年

参照⑤ 鈴木康之・坪井賢一「浦安図書館を支える人びと」日本図書館協会 2004年

 

2018年1月提出、2月返却

 

<評価B>

 

※転載はご遠慮ください。

児童サービス論 第2課題

<第1設題 子どもにとって読書はなぜ必要か、できるだけ自分の体験をふまえながら、論じなさい>

 

 はじめに

 「子どもの読書活動の推進に関する法律」第2条では、「読書活動は、子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、想像力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないもの」としている。(参照①)このような力を身に付けるために、読書は必要である。しかも読書は「楽しむ」ものであることが望まれる。1999年の文化審議会によれば「読書は、楽しく、知識がつき、ものを考えることを可能にするもの」(参照②)とされる。読書によって養える力を次に具体的に述べる。

・知識を得る力

 コルウェル氏は「何世紀にもわたる知識と知恵、われわれが歴史と呼ぶ人類の物語、その上に新しい発見をうちたてるべき数々のデータ、それらが記録されているのは、本の中です。ある子どもたちにとっては、この知識探求が、本の主要な魅力です。」と述べている。(参照③)息子は日本の歴史物語を読んでから戦国時代の合戦の作法や武具を図鑑などで詳しく調べたり、城の見学に行ったりしている。新たな発見があると目を輝かせているのだ。小河内芳子氏は「子どもにとって読書の楽しみの最大のものは、未知のものを知ることではないだろうか。」(参照④)と述べている。本から得る多くの知識や情報は子どもをわくわくさせるものだ。

・想像する力

 コルウェル氏は読書の価値について「何よりもまず想像力を刺激するということです。」(参照⑤)と述べている。物語から情景や人の気持ちを想像することは心を成長させる。赤星隆子氏は「真の想像力とは、現実にはあり得ない架空のことやものを空想することだけを指すのではない。他人の立場に身を置いて、感じたり考えたりする力、現実に立脚しながらも可能性を広く探る能力など人間の精神的な活動の根底をなす感性であり、知性への基本である。」(参照⑥)と述べている。娘は「赤毛のアン」を読み、アンが自分に劣等感を感じたり、友人を羨ましく思ったりしていることに共感を覚え、少し長い作品であったが読み通すことができた。本の中の人物の気持ちを理解することで、現実の他人の気持ちを理解することに繋がる。これが心の成長なのだと思う。

・読書を楽しめる力

 読書は知識や想像力をつけられるが、それが大人からの押し付けであれば、その力は半減するであろう。中多泰子氏は「子どもの読書は、まず楽しみとしての読書であり、それが成長に有益であることが大切である。」(参照⑦)と述べている。楽しみながら読むことが新しい知識を記憶させ、物語の中に入り込ませるのだと思う。そのためには、乳幼児のうちから本に親しませることが大切だ。杉山きく子氏は「本はおもしろいものだと親しみを感じるのも、読み聞かせの大きな効果の1つ」(参照⑧)と述べている。読み聞かせは読書のレディネス(準備状態を作ること)に効果があり、本に親しむ環境作りに最適である。また、島弘氏は数名の読書実態を調査し、「子どもの読書において、一人ひとりが示す興味・関心の対象には違いがある。」(参照⑨)としている。我が子達も好きな本は様々だ。子どもが興味のある本を自分で選んだり、大人がそれを援助したりすることで、子どもが「面白い本」を見つけられるようにしたい。

 おわりに

 子どもは、読書で色々な知識を得たり想像力を育んだりするために読書が必要である。読書を楽しみ、能動的に読むことでその効果は大きくなる。読書を楽しめる力を子どものうちに養うことで、生涯に渡って本から学ぶことができると考えている。子どもが読書を楽しめるように、大人が導くことが大切だ。

 

参考文献

参照①② 植松貞夫・鈴木佳苗「児童サービス論」樹村房 2012年

参照③⑤ E・コルウェル著 石井桃子訳「子どもと本の世界に生きて」こぐま社 1994年

参照④ 小河内芳子編「子どもの図書館の運営」日本図書館協会 1989年

参照⑥ 赤星隆子・新井督子編著「児童図書館サービス論新訂版」理想社 2009年

参照⑦ 中多泰子・汐崎順子・宍戸寛「改訂児童サービス論」樹村房 2004年

参照⑧ 杉山きく子「がんばれ!児童図書館員」東京子ども図書館 2016年

参照⑨ 島弘「図書館と子どもたち」久山社 2003年

 

2017年11月提出、12月返却 → 不合格

2018年1月再提出、2月返却

 

<評価A>

 

※転載はご遠慮ください。

 

 

児童サービス論 第1課題

<第1設題 児童図書館員の専門性について、各自の考えを述べなさい>

 

 はじめに

 アメリカ図書館協会が発表した「公共図書館・児童サービス担当図書館員の専門能力について」では児童図書館員の専門能力について、①利用者層についての知識、②管理運営の技能、③コミュニケーションの技能、④図書館資料の充実、⑤企画立案の技能、⑥児童サービスの必要性についての主張・PR・およびネットワークづくりの技能、⑦専門性と専門的発展に大別した。(参照①)この中で私は③コミュニケーションの技能が特に大事だと考える。いくら良質な本を知っていても、それを子どもに伝え、読書の良さを知ってもらうことができなければ意味がないからだ。アメリカ図書館協会がさらにコミュニケーションの技能について箇条書きにしたものの中でも重要だと思われるものを参照しながら、コミュニケーション能力の大切さをまとめる。

①「管理職やほかの図書館員、その自治体を含む広い地域の人びとが児童サービスの基礎を理解するために、児童が何を求めているかを明確にし、その人たちに伝える」

 児童図書館員として図書館を運営するにあたり、子どもに必要であると思われることを館長や管理職に速やかに伝えることで、より良い環境を作ることができるだろう。

 赤星隆子氏は「自分の仕事について明確に説明し主張できる能力は、利用者に対してだけでなく館内の同僚に対して、また館外の諸機関との連絡、広報などあらゆる点で求められる」と述べている。(参照②)子どもに接するだけではなく、管理運営する立場としてもコミュニケーションが必要である。

②「積極的で上手な聞き手としての熟練した技能を使う」

 会話能力の未発達な子どもの話をしっかり聞き、受け止め、確かな情報にすることで求める資料を確実に提供することができる。

 小河内芳子氏は「一人ひとりの子どもの願いや要求を直接、彼らの口からきいて、それに応えるのが児童図書館員の仕事の重要な部分である」(参照③)と述べている。そして、①にもつながるが、子どもの要望をよく聞き、管理者に伝えることでその図書館の運営にもよい効果が表れるであろう。

③「レファレンスデスクにいるときも、そうでないときも、利用者との効果的な話し合いができる」

 レファレンス質問を受けるときだけではなく、フロアワークの時間も常に子どもに気を配り、様子を見て声をかけることで子どもが質問しやすい環境を作りたい。

 レファレンスワークとフロアワークについて小河内氏は「日ごろから、子どもの信頼を得るように、児童図書館員と子どもの間に暖かい人間関係を樹立しておくよう心がけることが必要になってくる。そのために、子どもの本に対する広い知識をたくわえておくこと、子どもに対していきいきとした興味をもつこと、親切・公平・忍耐をもって子どもに接するようにしなければならない」と述べている。(参照④)これは、児童図書館員の役割として必要な3要素「子どもを知ること」「子どもの本を知ること」「子どもと本を結びつける技術をもつこと」(参照⑤)の全てに当てはまる主張であろう。

 

 おわりに

 以前に娘と図書館の児童コーナーに行き、職員に質問をしたのだが、会話もなく冷たい対応をとられて親子で落胆したことがあり、職員のコミュニケーション能力が大事だと痛感した。子どもを理解することを怠れば、子どもは図書館から離れてしまうだろう。子どもと本を結びつけるためには、職員の持つ専門的な知識を子どもと会話しながら提供していくことが必要である。会話することで子どもは職員を信頼し、図書館を安心して利用できるのではないだろうか。

 

参考文献

参照① 日本図書館協会児童青少年委員会児童図書館サービス編集委員会

    「児童図書館サービス1 運営・サービス編」日本図書館協会 2011年

参照② 赤星隆子・新井督子編著「児童図書館サービス論 新訂版」理想社 2009年

参照③④⑤ 小河内芳子編「子どもの図書館の運営」日本図書館協会 1989年

 

2017年11月提出、12月返却→不合格

2018年1月再提出、2月返却

 

<評価A>

 

※転載はご遠慮ください。

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図書館サービス概論 第2課題

<第1設題 図書館協力が必要な理由は何かを述べなさい>

 

 はじめに

 1950年に制定された「図書館法」第3条で、図書館奉仕の理念のもと、他の図書館と緊密に連絡し、協力し、資料の相互貸借を行うことが明文化された。図書館協力はどのような背景から生まれたのか、そのためにどのような協力を行っているのかを以下にまとめる。

・高まる利用者の資料要求に応える

 1970年前後から高まった図書館サービスの進展で、「住民の資料要求には必ず応える」という活動が実践されるようになった。どんなに充実した図書館でも、全ての資料を所蔵することは不可能で、資料の収集には限界がある。そこで、住民のさまざまな資料要求に応えるために予約・リクエストの実践を行うが、廃版や購入費の不足などでその資料が購入できないことがある。その場合は所蔵館を探し、借用を申し入れる。これが図書館協力の起点である。近隣の図書館と連携し、収集の分担をして、図書館間総合貸借サービスが行われるようになった。

・保存の分担

 資料として残す必要はあるが、日常的にいつも使われるわけではない資料の保存は、収蔵スペースの面で多くの図書館が抱える問題である。そこで近隣の図書館と協定して雑誌や新聞のバックナンバーなどの保存を分担し、必要に応じて相互に利用しあうことで、資料保存の負担が軽減された。

・「中小レポート」

 「中小レポート」は1963年に日本図書館協会によって策定された。市町村立図書館を「第一線図書館」と位置づけ、地域住民へのきめ細かなサービスを行う図書館とし、市町村立図書館を背後から支える大規模な「第二線図書館」として、都道府県立図書館を機能させることが望ましいとした。市町村立図書館と都道府県図書館との協力は、日本の図書館制度の特徴である。市町村立図書館では地域住民一人一人の求めに応じ、レファレンスサービスや貸し出し、読書活動の支援を行う。都道府県立図書館は、市町村立図書館と同様のサービスを行うとともに、市町村立図書館が単館では備えきれない資料を収集・所蔵し、各市町村立図書館で利用者の依頼があった資料をその図書館に貸し出すといった協力が行われている。これにより、市町村立図書館は地域住民に寄り添ったサービスが行えるうえに、都道府県立図書館の所蔵資料を貸し出すことができるのである。また、利用者へのサービスに留まらず、都道府県立図書館は、市町村立図書館の運営や職員の研修の援助、図書館間の連絡調整を行う役割も担っている。

OPACによる横断検索

 コンピュータシステムの発達により、所蔵情報をウェブページのOPACで検索できるようになった。利用者は複数の図書館の横断検索も可能となり、図書館間相互貸借のサービスをより利用しやすくなった。

 おわりに

 私が司書課程のレポートを作成するにあたり、参考図書を購入できず、地元の図書館のOPACで調べると県立図書館にあることが判明した。地元の図書館で相談すると県立図書館からの貸出が可能で、スムーズに対応してもらえた。週に一度連絡車が来るとのことであった。おかげで数日後には資料を手にすることができた。このように私も安心して資料を求めることができ、図書館をもっと利用したいと思うようになった。

 図書館奉仕の理念にもとづき、図書館が協力して利用者のニーズにきめ細かく応えることにより、利用者は更なる期待をする。図書館は地域住民にさらに利用してもらうことを目指し、これからも協力を含めたさまざまなサービスを生み出していかなかればならない。

 

参考文献:塩見昇「図書館概論四訂版」日本図書館協会 2016年

 

2017年10月提出、同月返却

 

<評価B>

 

※転載はご遠慮ください。