ルミ姉ブログ

聖徳大学司書課程の歩み&おすすめ本&暮らしのこと

図書館サービス概論 第1課題

<第2設題 地域の情報拠点として、図書館はどのようなサービスが考えられるか述べなさい>

 

 はじめに

 近年、公共図書館は地域住民の日常の暮らしにおいて身近な存在となった。以下に地域における図書館サービスの役割を挙げ、さらに2006年に報告された「これからの図書館像~地域をささえる情報拠点をめざして」についてまとめ、地域の情報拠点としての図書館のあり方をまとめる。

①教育的な役割

 公共図書館は社会教育の施設であり、家庭や地域、社会活動において様々な形態の学習活動を支えるものと位置づけられる。学習活動の場を提供するだけでなく、集会活動を行ったり、情報活用能力の育成を目指し、情報リテラシーの獲得を援助するサービスが実践されたりしている。学校図書館を支援するサービスも行われている。

②文化的な役割

 地域文化を後世に伝達する役割として、「郷土資料」「地域資料」を保存することがある。郷土資料・地域資料とは地域の風俗や民族に関する資料、地方政府資料、同人誌などがある。資料形態は図書のほか、ビラやチラシ、リーフレットなど多種多様である。このような資料は散逸する可能性が大きく、公立図書館で保存する役割は大きい。

③地域情報のコントロールの役割

 収集した地域資料や、地域情報をデータベース化するなどして組織化する。組織化した資料は利用者に提供したりウェブページに掲載したりする。今後は電子メディアを充実させ、ますます地域情報のポータルとして公共図書館が機能することが期待される。

④余暇的な役割

 娯楽のための「読み物」の提供のほか、行事による余暇機会の提供や余暇情報の提供なども行われる。

⑤場としての役割

 地方自治体が図書館という施設を設置することによって、地域住民がそこで交流する機会が提供されることになる。住民が図書館で充実した地域情報を利用することにより「まちづくり」の支援につながる。

⑥「これからの図書館像」

 ①~⑤のような役割を果たすことにより、地域の課題解決を支援し、地域の発展を支える情報拠点であるというイメージの具体化、普及・徹底を目指す趣旨の報告書である。住民の生活・仕事・自治体行政・学校・産業などの課題解決を支援する相談・情報提供や、印刷資料とインターネットを組み合わせた高度な情報提供や、学校との連携による青少年の読書活動の推進などの機能を強化するとしている。これにより、地域住民は豊かな暮らしに関する課題を解決でき、行政関係者には政策策定や行政改革を進めるうえでの助けとなり、学校にとっては図書館の充実や、読書時間の充実による情緒豊かな子どもの育成につながるとしている。地域住民の知りたい、学びたいという思いに応えることで、地域住民の意識向上につながり、さらには地域発展の向上につながることになろう。

 おわりに

 1980年代以降推進されている生涯学習政策は、一人一人が生きがいをもち、創造的に地域に貢献する生き方を提唱した。地域住民が地域の課題を解決し、住みよいまちづくりを目指す中、公立図書館は充実した地域資料を地域住民に利用しやすい形で提供することが重要な役割となる。地域の人々の共感に支えられ、暮らしを豊かにし、さまざまな課題の解決に役立つサービスを提供することが必要である。そのような活動を通して利用者も地域における暮らしや活動の拠点として図書館を活用する実態を作り出していく。今後は地域の情報収集だけでなく、インターネットなどを通じて地域からの情報発信も積極的に行うことが求められている。

 

参考図書:塩見昇「図書館概論四訂版」日本図書館協会 2016年

     伊藤敏夫「新訂 生涯学習概論」ぎょうせい 2016年

 

2017年10月提出、同月返却

 

<評価B>

 

※転載はご遠慮ください。

情報資源概論 第2課題

<第2設題 資料収集と定期用に関する具体的事件を取り上げ、図書館の自由の視点から問題点を解説しなさい>

 

 はじめに

 「図書館用語集三訂版」によれば、「図書館の自由」とは、「市民の知的自由を守るために、図書館または専門職としての図書館員が有しているとされる自由のことで、図書館活動における最も基本的な理念と考えられている」と定義されている。図書館の自由は、図書館員の自由ではなく、すべての市民の「知る自由」の保障を意味している。しかし時に、一部の図書館員による市民の「知る自由」を侵害するような事件が起きている。戦後の資料収集と提供に関する事件を幾つか挙げ、問題点をまとめる。

①「図書館の自由に関する宣言(自由宣言)」の成立

 1954年、「自由宣言」は戦前の思想善導の機関として存在した図書館の歴史に対する反省や、朝鮮戦争などによる戦後民主主義後退への危機感から、国家権力からの自由を希求して採択された。資料収集の自由、資料提供の自由などが宣言された。

山口県立図書館図書抜き取り放置事件

 1973年、山口県立図書館で、図書館員が反戦・左翼出版物などの蔵書約50冊を抜き取り、隠匿した。図書館員が個人的な判断で抜き出したことは、「知る自由」を保障した「自由宣言」の理念を無視した形となった。「知る自由」を侵害した行為は、戦前の師思想善導に基づく言論抑圧の体質と同じであり、図書館界は看過できなかった。この事件を契機に、法的拘束力のない「自由宣言」の改定の動きが始まった。

③「自由宣言」改訂

 抜き取り事件後、「自由宣言」は「知る自由」の法的根拠を憲法第21条で保障する「表現の自由」においた。

船橋市西図書館蔵書廃棄事件

 「自由宣言」改訂後も、同様の事件は起こった。2001年、船橋市西図書館で「新しい歴史教科書をつくる会」の関係者の著作物に嫌悪を抱いた図書館員が、正規の除籍手順を踏まず関連図書107点を廃棄し、関係者から国家賠償を求めて訴えられた。「知る自由」の抑圧に図書館員が関わったことは、裁判所から厳しく糾弾された。これは、国民の「知る自由」の保障に資する公的な場として公立図書館を憲法上位置付けたものである。

⑤「ちびくろさんぼ」「完全自殺マニュアル

 1988年、絵本「ちびくろさんぼ」が、ある政治家の人種差別発言から「差別本」とされ、絶版になった。図書館での取り扱いの判断は廃棄処分、提供制限、そのまま配架に分かれた。

 1993年、「完全自殺マニュアル」を読んだ少年が自殺したことから、有害図書に指定された。このときも、図書館の対応は書庫への異動、利用年齢制限、除籍に分かれた。

 このような事例は、図書館員が「図書館の自由」の実現に完全に応えられていないことを意味している。「図書館の自由」は「図書館員の自由」ではないが、問題のある資料に直面すると、専門職としての主体的判断よりも先に、安易に職制判断や慣習にならってしまう傾向がある。市民の「知る自由」すなわち読書要求が充分に叶えられているわけではないのが現状である。

 おわりに

 「図書館の自由に関する宣言」以降、図書館は国民の「知る自由」を保障するために、読みたい本(資料)を収集、提供することに努めている。しかし、一部の図書館員の個人的な判断で資料を廃棄するなどして、国民の「知る自由」を脅かす事件が度々発生している。基本的人権の一つである「知る自由」を持つということは、国民主権の大事な要素であり、そのために資料と施設を提供することは、図書館の最も重要な任務であるということを忘れてはならない。

 

参考文献:前川恒雄・石井敦「新版図書館の発見」NHKブックス 2006年

     塩見昇「図書館概論四訂版」日本図書館協会 2016年

 

2017年8月提出、2018年3月返却

 

<評価A>

 

※転載はご遠慮ください。

情報資源概論 第1課題

<第1設題 選書における代表的な理論について説明しなさい>

 

 はじめに

 図書館は、各館の収集方針に基づき図書を選び、収集している。このときに考えなければならない図書選択論について示し、日本ではどのような経緯でそれらの選択論が支持されてきたのかを以下にまとめる。

①価値論と要求論

 カーノフスキーは、2つの図書選択論を「価値論」「要求論」とした。

・価値論

 図書自体の価値を基準とし、価値の高い図書を選択していこうという考え方。

 

・要求論

 利用者の要求を基準とし、要求の高い図書を選択していこうとする考え方。

②戦前の日本の図書選択論

 戦前の日本の公共図書館は、国民教化の手段として存在し、国は健全有益な図書を選択することを図書館に求めた。国の政策にプラスになるような価値のある本を収集し、国民に読ませた。価値論一辺倒の時代であった。

③戦後の日本の図書選択論

 戦後も図書選択論の基本は「良書」を選ぶことであったが、1970年の「市民の図書館」の指針で、住民の資料要求に応えようとする図書選択論、すなわち要求論が提示された。しかし、要求に応える図書選択は、質の低い図書を選択することではないかという批判が現れるようになった。

④前川恒雄氏の図書選択論

 日野市立図書館長を務めた前川恒雄氏は、利用者が質の低いものばかりを要求するのではないかという要求論への批判の応えるような図書選択論を展開した。それは利用者の要求に応える図書選択とは、利用者の知的向上心を刺激する図書選択であり、それは質の高さを求める図書選択と同じことになるという、要求論と価値論の統一をめざす選択論である。前川氏は、「質の高い本」を①読者が何かを発見するような本②具体的で正確な本③美しい本とし、このような本を図書館員が選び、それらの本に刺激を受けた利用者が他の新たな本をリクエストし、図書館員がまた質の高い本を選ぶというサイクルで形成される蔵書を優れた蔵書であるとした。図書館員と利用者による共同作業によって、要求論と価値論は統一されるという考え方を示した。

⑤読書調査研究グループの研究成果

 1980年以降、「日本図書館研究会読書調査グループ」も、要求論の立場に立ち、図書選択論に関する研究を行った。利用者の資料要求を知り、蔵書構成に反映させるためである。利用状況をコンピュータで分析し、蔵書構成に反映させることと、予約制度を高く評価し、利用者の利用とリクエストを敏感に受け止めるという前川氏の理論を実証的に深める研究成果を発表した。

⑥現在の状況

 1980年代以降の図書選択論は、前川氏の理論と、読書調査研究グループの理論を基礎としながら発展していった。

 一方で2000年代になると、出版社などから、人気のある本を図書館が貸出をすることで出版界が経済的損失を受けているとの主張がされた。文化的価値、永続的価値のある本を購入するという図書館の社会的役割を放棄しているという。これを受け、新刊書や廉価本の貸出を控える図書館が現れた。このような主張は、古いタイプの価値論への傾斜がみられる。

 おわりに

 日本の図書選択論は、価値論の時代から要求論の時代へ移り、そして前川氏の「価値論と要求論の統一」という理論の上に発展していった。しかし一部で出版社などの批判から人気本の貸出を控える現象があり、このような主張にどのように対応していくかは今後の課題である。

 

参考文献:前川恒雄・石井敦「新版 図書館の発見」NHKブックス 2006年

 

2017年8月提出、2018年3月返却

 

<評価A>


※転載はご遠慮ください。

 

情報資源組織論 第2課題

<第1設題 目録の機械化・ネットワーク化とは何か、またそれによって図書館サービスはどのように変化したか、さらには今後の展望・課題について考察しなさい>

 

 はじめに

 図書館で目録を作成する場合、以前はカード目録が使われていたが、現在は機械化・ネットワーク化され、コンピュータを使って容易に作成・検索できるようになった。図書館で行われている目録の機械化・ネットワーク化されたシステムの具体例を挙げ、図書館サービスがどのように変化したかをまとめる。

 

①目録の作成

 カードで行われてきた目録作成をコンピュータで行うことにより、書誌レコードを複数の図書館で共同で作成したり、1つの機関が作成した目録レコードを各図書館で使用できるようになった。

②集中目録作業

 全国書誌作成機関が、機械可読形式にした目録レコード(MARCレコードを作成し、配布する。各図書館でMARCレコードをシステムにコピーすることで簡単に蔵書目録の更新を行える。現在、図書館が単独で目録作成業務を行うことはほとんどない。

③MARC

 目録を機械で読み取れるようにしたフォーマット。1968年に米国で配布が始まり、日本でも1981年に配布が始まった。国立国会図書館では2012年に世界で普及しているMARC21を採用した。公共図書館では、図書の装備に関するサービスが手厚い図書館流通センターのTRC/MARCを採用しているところが多い。複数のMARCレコードが存在することで、標目の不具合が発生する可能性があることが問題点である。

④共同目録作業

 ②に対して、コンピュータネットワークで結ばれた多くの図書館が共同・分担して目録を作成する仕組み。インターネットの普及で中小図書館も参加できる環境になった。

⑤書誌ユーティリティ

 ④の、複数の図書館からアクセス可能な共同書誌データベースを管理する組織。日本では国立情報学研究所大学図書館を中心に全国規模の総合目録データベース「NACSIS-CAT」を管理している。参加間の増大に伴って、レコードの品質低下や、レコード作成館の偏りが問題視されている。ちなみに公共図書館では②の集中目録作業での構築を行っている。

OPAC

 電子化された図書館の蔵書目録をオンラインで検索可能にした画期的システム。目録作業が機械化されたことによる大きな成果と呼べるものである。公開当初は館内の端末で提供されていたが、現在はインターネットで行うことができる。図書館にとって、カード目録に比べ、負担やコストが大きく低減された。利用者にとっても、記録された全ての文字列からの検索が可能になり、いつでもどこでも検索できることで、情報入手に必要な時間が短縮されるなど、多くの利点をもたらした。

 今後は利用者からの情報を取り込んで情報提供を行うことや、ほかの情報提供サービスと連携して、より利用者に便利な情報提供を行うサービスが期待できる。

 おわりに

 20年ほど前、大学図書館でカード目録を用いて資料を探したが、困難だった記憶がある。現在はOPACで図書館の端末や自宅のパソコンから蔵書検索ができるようになり、欲しい資料をすぐに見つけられる。コンピュータの導入で目録の機械化が行われ、そしてネットワーク上で情報が提供されるようになったことは図書館員も利用者も大変便利になったことは間違いない。同時に、利用者情報と書誌情報を適切に管理することでこの仕組みが成り立っていることを忘れてはならない。

 今後はMARCフォーマットの一元化や、OPACの更なる活用がされると、図書館の利便性の向上が期待できる。

 

2017年6月提出、10月返却

 

<評価B>

※転載はご遠慮ください。

情報資源組織論 第1課題

<第1設題 情報資源組織法の目的・意義およびその方法について、今日の図書館サービスとも関連させ考察しなさい>

 

 はじめに

 「情報資源」とは、簡単に言えば資料のことである。資料を一定の法則に従って整理し、検索できるシステムを構築することが「組織化」である、除法資源を組織化することで、人々が求める情報を検索し、探し出せるようになる。情報資源の組織化を図書館で行うことの目的と意義、そしてその方法をまとめる。

・情報資源組織の目的

 大規模な図書館では、100万冊以上の資料を所蔵している。大量の資料の中から利用者が求める資料をスムーズに提供するために、情報資源の組織化が行われてきた。

・情報資源組織の意義

 図書館が情報資源組織を構築し、資料を検索できれば、館内閲覧や館外貸し出し、レファレンスサービスが快適に行える。情報資源組織は図書館サービスの基盤を形成するものである。なお情報資源組織は、閲覧や貸し出し、レファレンスサービスなどの直接的サービスに対し、間接的サービスとされている。

・情報資源組織の方法

 図書館の資料の検索は、求める資料がすでに分かっていて、それが図書館に所蔵されているかどうかを確認する既知資料検索と、求める資料が特定されていないときに行われる未知資料検索の2うに大別できる。これらの資料を検索するための方法を以下に説明する。

①書架分類法

 書架分類法とは、資料そのものを組織する方法で、主題などに基づいて資料を分類順に配架することである。図書館には館内案内図や表示があり、利用者は求める資料がある場合に容易にたどり着ける。またその場所で利用者は思いがけず興味深い資料を見つけることもできる(ブラウジング効果)。

②目録法

 目録法とは、資料に関する情報を組織する方法で、タイトル・著者・主題などを付与した目録を作ることである。以前はカードに情報を記載する「カード目録」が使われていたが、現在はコンピュータによる検索(OPAC)が主流となっている。目録法により、開架書庫にある資料や、閲覧中や貸し出し中の資料に対応できない書架分類法の弱点をカバーできる。タイトル・著者からも検索できるし、資料の主題が複数ある場合には、その複数の主題からも検索でき、あらゆる角度から検索が可能になる。

 目録は、記述・アクセスポイント・所在記号を主要要素とする。

 記述とは、資料のタイトル・著者・版次・出版社・出版年・サイズなどの情報である。

 アクセスポイントとは、検索の手がかりとなる、著者・タイトル・主題に関する情報である。そのままの語「自然語」の他に、同義語などを整理した「統制語」も含まれる。

 所在記号とは、図書館での所在情報を表示するもので、資料の所在を表す記号である。

③その他

 図書館で行われているその他の組織法を幾つか挙げる。

パスファインダー・・・利用者からの問い合わせが多い分野の資料を予め組織し、利用者をその資料に案内するために作成した資料。

サブジェクトゲートウェイ・・・ネットワーク情報資源のうち信頼できるものを選び、ネット上で目録を構築し、検索可能にする仕組みのひとつ。

 おわりに

 情報資源組織は、図書館で多くの資料の中から求める資料を探し出す方法として重要である。目録に統制語などを用いて未知資料検索にも対応し、利用者のニーズの応えるために工夫がされている。OPACの普及で、よりスムーズに検索が可能になり、快適なサービスが提供できるようになった。今後もより工夫された検索システムの構築が期待できる。

2017年6月提出、10月返却

 

<評価B>

 

※転載はご遠慮ください。

 

情報サービス論 第2課題

 <第1設題 レファレンスブックの定義、その種類、特徴をまとめ、それぞれに応じた具体的事例(書誌情報と特徴)を示しなさい。

 

 はじめに

 レファレンスブック(参考図書)は「調べるための本」である。レファレンスブックの定義と、その種類や特徴を以下にまとめる。

・レファレンスブックとは

 レファレンスブックは、既知の情報を整理して項目見出しのもとにまとめ、それを一定の順序に配列することによって、特定の情報が容易に見つけ出せるように編集された知識の本であり、次の3つの要件を満たしている。

 ①<内容面>既知の情報あるいはデータを収録していること

 ②<形式面>参照しやすいように編集されていること

 ③<形態面>冊子体の本であること

 また内容によって事実解説的なものと案内指示的なものに大別される。各々の特徴と種類を以下に説明し、書誌情報の一例を挙げる。

●事実解説的なレファレンスブック

 それ自体から必要な情報を直接得ることができ、さまざまな事実を調査し解説を求めるのに都合がよいように編集されている。

 ・辞書・・・単語を見出し語とし、それに解説を加えた項目を一定の順序に配列した図書。「広辞苑」(第6版、新村出等、岩波書店、2008)

 ・百科事典・・・さまざまな部門から項目見出しを選び、そのもとに解説を加え、五十音順などに配列した図書。「世界大百科事典」(改訂新版、平凡社、2007)

 ・専門事典・・・特定主題を多面的に扱い、解説を与えている大部な事典から、専門領域の術語を収録し簡潔な解説を加えている用語集まで、さまざまな主題の事典。「情報学事典」(北川高嗣等、弘文堂、2002)

 ・便覧・・・実用性に富み、統計的数値、実例などを用いて特定分野の用語などを解説し、体系的に編集した図書。「図書館情報学ハンドブック」(第2版、同編集委員会丸善、1999)

 ・図鑑・・・写真や図絵を主体にして編集した図書。生物や事物の形状、仕組み、色彩などを図解、図示している。「世界の国旗第百科」(述原康夫、人文社、2003)

 ・年表・・・年代順に関係事項を取り上げて解説し、年代から各種のデータを探しだせるように編年体に編集した図書。「世界史年表」(第4版、日比野丈夫、河出書房新社、1997)

 ・年鑑・・・毎年1回ずつ継続的に発行される逐次刊行物。「読売年鑑」(読売新聞社、1946-)

 ・地図帳・・・各種の地図を編集した図書。「世界大地図館」(テクノアトラス、小学館、1996)

●案内指示的なレファレンスブック

 書誌データなどの情報を示し、必要な情報へのガイドを提示する二次資料。探している情報の回答そのものを提供するわけではない。

 ・書誌・・・文献資料を収録対象とし、それらの書誌データを一定の配列方式でリストしたもの。「出版年鑑」(出版ニュース社、2002-)

 ・目録・・・収録されている資料の所在が明らかな書誌データのリスト。「国立国会図書館蔵書目録」(明治期、同館、1994-95)

 ・索引・・・特定の資料に含まれている情報を容易に見つけることができるように、一定の配列方式で収録し、その所在を示しているリスト。「図書館雑誌総索引」(細谷重義、日本図書館協会、1987)

 おわりに

 レファレンスサービスを行う際には、以上のようなレファレンスブックの特徴を理解し、活用することが必要だ。現在は冊子体のものだけでなく、オンラインデータベースなども活用しながら、多様な情報サービスを展開することが求められている。

 

参考文献:「レファレンスブック:選びかた、使いかた」長澤雅男、石黒裕子共著 日本図書館協会 2013年

 

2017年5月提出、10月返却

 

<評価B>

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情報サービス論 第1課題

<第1設題 レファレンスサービスのプロセスを解説し、注意すべき点を述べなさい>

 

 はじめに

 レファレンスプロセスとは、利用者の情報要求を出発点として、それに基づくレファレンス質問を図書館員が受け付け、情報源を探索し、回答を提供することにより、利用者の情報要求が充足することを終結点とする一連の過程である。この処理過程を5段階に分け、それぞれの過程を説明し、注意点を挙げる。

①レファレンス質問の受付

 レファレンス質問は、図書館の施設・資料・機能に関する質問、図書の選び方や情報探索に関する質問、即答が可能な事実に関する質問、さまざまな情報源を探索して回答を得る事実に関する質問などがある。

 質問は、口頭・電話・文書・電子メールで寄せられる。質問を受け付ける際には、質問者と対話をしながら質問内容の要点を記録する。記録はレファレンスサービスを評価する際の資料として活用する。

②質問内容の明確化

 質問を受けたら、まず質問者が図書館員に実際に尋ねるものを明確にするために、利用者の言ったことを自分の考えを加えずに復唱するとよい。復唱することで、多くの情報を引き出すきっかけになる。質問することに慣れていない利用者は、図書館員の手を煩わすことへの遠慮があり、質問内容を一般化したり、婉曲にいう傾向がある。利用者の心理を理解して、安心して相談できるような雰囲気を作り出すことが肝要である。

③質問内容の分析と解釈

 質問内容の分析は、⑴何について(与件)⑵どのようなことを知りたいのか(情報要求)という2つの構成要素に分けて考える。与件と情報要求はディスクリプタと呼ばれる索引用語に分類する。

 次に、質問を情報源で用いられている索引語との関連で解釈する。あらかじめ情報源を種類別に類型化しておき、個々のレファレンス質問を同じ方法で類型化して、両者を突き合わせる。これにより、情報源を特定化する手がかりを得られる。

④探索方針の決定と探索の実行

 情報の探索の実行に移る際に最小限必要な前提条件は⑴探索すべき情報源を特定化すること⑵特定化された情報源を検索するためのキーワードを決めることである。さらにいくつかの条件を事前に決めておく場合もある。

 探索を実行する際には、質問者の要求を充足する情報を見出すこと、有効な情報を最小限の時間と労力で発見することが求められる。

⑤レファレンス質問の回答

 情報源から有効な情報が得られたら、それをできるだけ速やかに質問者に提供する。

 回答の様式について、情報そのものを提供するか、情報を入手するための情報源を示し、その利用の仕方を指導するかは、その図書館のサービス方針による。「参考事務規定」の原則を採用する図書館が多く、利用者自身に調べさせることに教育的価値を認めているからである。また可能な限り複数の情報源を参照し、その内容が異なる場合は、図書館員が適否の判断をせず、そのまま質問者に提示する。質問を受けた図書館で対応できなかった場合は、外部の情報源を紹介する。

 図書館員の判断の領域を超え、他の専門職の判断に委ねるべき問題は、回答が制限される。ただし、図書館員が適当な専門機関を紹介することで、質問者の情報要求に応えることができる(レフェラルサービス)。

 おわりに

 レファレンス質問は以上のような過程で処理する。利用者の情報要求を引き出し、それを的確に把握して、その要求を満足させることが大事である。また図書館の利用経験が少ない利用者の中には、図書館員の人的援助を潜在的に必要としている利用者がいることも忘れてはならない。

 

参考文献:「まちの図書館でしらべる」柏書房 2002年

 

2017年5月提出、10月返却

 

<評価A>

 

※転載はご遠慮ください。