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情報サービス論 第1課題

<第1設題 レファレンスサービスのプロセスを解説し、注意すべき点を述べなさい>

 

 はじめに

 レファレンスプロセスとは、利用者の情報要求を出発点として、それに基づくレファレンス質問を図書館員が受け付け、情報源を探索し、回答を提供することにより、利用者の情報要求が充足することを終結点とする一連の過程である。この処理過程を5段階に分け、それぞれの過程を説明し、注意点を挙げる。

①レファレンス質問の受付

 レファレンス質問は、図書館の施設・資料・機能に関する質問、図書の選び方や情報探索に関する質問、即答が可能な事実に関する質問、さまざまな情報源を探索して回答を得る事実に関する質問などがある。

 質問は、口頭・電話・文書・電子メールで寄せられる。質問を受け付ける際には、質問者と対話をしながら質問内容の要点を記録する。記録はレファレンスサービスを評価する際の資料として活用する。

②質問内容の明確化

 質問を受けたら、まず質問者が図書館員に実際に尋ねるものを明確にするために、利用者の言ったことを自分の考えを加えずに復唱するとよい。復唱することで、多くの情報を引き出すきっかけになる。質問することに慣れていない利用者は、図書館員の手を煩わすことへの遠慮があり、質問内容を一般化したり、婉曲にいう傾向がある。利用者の心理を理解して、安心して相談できるような雰囲気を作り出すことが肝要である。

③質問内容の分析と解釈

 質問内容の分析は、⑴何について(与件)⑵どのようなことを知りたいのか(情報要求)という2つの構成要素に分けて考える。与件と情報要求はディスクリプタと呼ばれる索引用語に分類する。

 次に、質問を情報源で用いられている索引語との関連で解釈する。あらかじめ情報源を種類別に類型化しておき、個々のレファレンス質問を同じ方法で類型化して、両者を突き合わせる。これにより、情報源を特定化する手がかりを得られる。

④探索方針の決定と探索の実行

 情報の探索の実行に移る際に最小限必要な前提条件は⑴探索すべき情報源を特定化すること⑵特定化された情報源を検索するためのキーワードを決めることである。さらにいくつかの条件を事前に決めておく場合もある。

 探索を実行する際には、質問者の要求を充足する情報を見出すこと、有効な情報を最小限の時間と労力で発見することが求められる。

⑤レファレンス質問の回答

 情報源から有効な情報が得られたら、それをできるだけ速やかに質問者に提供する。

 回答の様式について、情報そのものを提供するか、情報を入手するための情報源を示し、その利用の仕方を指導するかは、その図書館のサービス方針による。「参考事務規定」の原則を採用する図書館が多く、利用者自身に調べさせることに教育的価値を認めているからである。また可能な限り複数の情報源を参照し、その内容が異なる場合は、図書館員が適否の判断をせず、そのまま質問者に提示する。質問を受けた図書館で対応できなかった場合は、外部の情報源を紹介する。

 図書館員の判断の領域を超え、他の専門職の判断に委ねるべき問題は、回答が制限される。ただし、図書館員が適当な専門機関を紹介することで、質問者の情報要求に応えることができる(レフェラルサービス)。

 おわりに

 レファレンス質問は以上のような過程で処理する。利用者の情報要求を引き出し、それを的確に把握して、その要求を満足させることが大事である。また図書館の利用経験が少ない利用者の中には、図書館員の人的援助を潜在的に必要としている利用者がいることも忘れてはならない。

 

参考文献:「まちの図書館でしらべる」柏書房 2002年

 

2017年5月提出、10月返却

 

<評価A>

 

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