ルミ姉ブログ

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図書館制度・経営論 第1課題

<第1設題 図書館の二次的経営活動について述べなさい 

 

 はじめに

 図書館の経営活動として、貸出やレファレンス、資料の収集などの一次的経営活動に対し、それらを効率的に遂行するための二次的経営活動は組織・人事・予算・規則・建物・物品管理。広報などがある。その中でも組織・人事について採り上げる。公共図書館の司書の配置の現状と、優れた経営活動を行っている浦安市立図書館の取り組みをまとめ、今後の人事はどうあるべきかを考える。

公共図書館の司書の配置の現状

 1997年の「図書館年鑑」によれば、公立図書館の司書の配置率は51%である。図書館法に司書の義務設置の規定がないため、各公共図書館で司書の配置の割合はまちまちである。司書が1人もいない自治体もある。自治体の多くは、司書の採用は一般事務職として行われ、通常3年から5年で異動となる。浦安市立図書館元館長の常世田良氏は「昨日まで市民課に座っていた人が異動になってきて、という職員が多い図書館では、専門家としての判断をだしづらいのです。」(参照①)と述べているように、異動が行われる一般事務職としては、図書館のスペシャリストは育たないのである。

 加えて、非常勤職員や委託業者の職員が増加している。2002-4年の3年間で、専任職員は4.1%減、非常勤職員は10.6%の増加である。(参照②)司書職制度のない自治体の図書館では、常勤職員を削減し非常勤司書職員で補った結果、無資格の常勤職員と有資格の非常勤職員という逆転現象も起きている。これは「指導されるほうが指導する側よりも仕事に詳しい」(参照③)こととなり、組織の円滑な管理が難しくなっている。

 また、自治体の人員削減により、ボランティアの労力に依存する傾向がみられる。「あたかも無償のアルバイトとみなしているかのような風潮」(参照④)がある。ボランティアの善意の提供はよいことであるが、それを利用しコスト削減を図ったり、ボランティアの自己実現のためにサービスの質が低下したりするようなことがあってはならない。

浦安市立図書館の取り組み

 浦安市立図書館は2002年、貸出冊数が市民一人あたり12.79冊であった。全国平均4.18冊に比べてとても多い。同年の資料費は1億3千万円である。2004年時、正規司書職員39名と臨時司書職員で構成され、司書率はほぼ100%であった。(参照⑤)活気ある図書館を支えているのは豊富な人材なのである。

 この図書館では司書は「蔵書構成グループ」と「業務グループ」という組織に配され、3年ほどかけて専門的業務を行う。継続的に行うことによって、資料についての専門性の向上と、利用者からの要求をきめ細かく受け止める体制ができるのである。これは、一定の人数の司書が継続的に配置されなければできない。また、常世田氏が「専門官を雇うと税金の節約になります」(参照⑥)と述べるように、同じ数の職員がいたら、専門職のほうが熟練し、しかも短時間で業務をこなすことができる。司書という専門職を充実させることで、図書館は活性化されるのである。

 おわりに

 浦安市立図書館のように、高い専門性と意識を持った司書職員が継続して多数配置されていることで、質の高いサービスや効率の良い作業が実現していることが分かった。一方、異動のない職場環境でのマンネリ化も懸念される。外部の研修などでスキルアップを図りたい。教員のような域内図書館の異動が実現するとよいのではないか。公務員の人員削減などで非常勤職員や業務委託が進んでいるが、働き方も多様になっているので、非常勤司書職員もバランスよく配置し、そのうえでボランティアの協力を得るのがよいだろう。

参考文献

参照①④⑥ 常世田良著「浦安図書館にできること」勁草書房 2003年

参照②③ 柳与志夫著「図書館経営論」学文社 2007年

参照⑤ 鈴木康之・坪井賢一「浦安図書館を支える人びと」日本図書館協会 2004年

 

2018年1月提出、2月返却

 

<評価B>

 

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