児童サービス論 第1課題
<第1設題 児童図書館員の専門性について、各自の考えを述べなさい>
はじめに
アメリカ図書館協会が発表した「公共図書館・児童サービス担当図書館員の専門能力について」では児童図書館員の専門能力について、①利用者層についての知識、②管理運営の技能、③コミュニケーションの技能、④図書館資料の充実、⑤企画立案の技能、⑥児童サービスの必要性についての主張・PR・およびネットワークづくりの技能、⑦専門性と専門的発展に大別した。(参照①)この中で私は③コミュニケーションの技能が特に大事だと考える。いくら良質な本を知っていても、それを子どもに伝え、読書の良さを知ってもらうことができなければ意味がないからだ。アメリカ図書館協会がさらにコミュニケーションの技能について箇条書きにしたものの中でも重要だと思われるものを参照しながら、コミュニケーション能力の大切さをまとめる。
①「管理職やほかの図書館員、その自治体を含む広い地域の人びとが児童サービスの基礎を理解するために、児童が何を求めているかを明確にし、その人たちに伝える」
児童図書館員として図書館を運営するにあたり、子どもに必要であると思われることを館長や管理職に速やかに伝えることで、より良い環境を作ることができるだろう。
赤星隆子氏は「自分の仕事について明確に説明し主張できる能力は、利用者に対してだけでなく館内の同僚に対して、また館外の諸機関との連絡、広報などあらゆる点で求められる」と述べている。(参照②)子どもに接するだけではなく、管理運営する立場としてもコミュニケーションが必要である。
②「積極的で上手な聞き手としての熟練した技能を使う」
会話能力の未発達な子どもの話をしっかり聞き、受け止め、確かな情報にすることで求める資料を確実に提供することができる。
小河内芳子氏は「一人ひとりの子どもの願いや要求を直接、彼らの口からきいて、それに応えるのが児童図書館員の仕事の重要な部分である」(参照③)と述べている。そして、①にもつながるが、子どもの要望をよく聞き、管理者に伝えることでその図書館の運営にもよい効果が表れるであろう。
③「レファレンスデスクにいるときも、そうでないときも、利用者との効果的な話し合いができる」
レファレンス質問を受けるときだけではなく、フロアワークの時間も常に子どもに気を配り、様子を見て声をかけることで子どもが質問しやすい環境を作りたい。
レファレンスワークとフロアワークについて小河内氏は「日ごろから、子どもの信頼を得るように、児童図書館員と子どもの間に暖かい人間関係を樹立しておくよう心がけることが必要になってくる。そのために、子どもの本に対する広い知識をたくわえておくこと、子どもに対していきいきとした興味をもつこと、親切・公平・忍耐をもって子どもに接するようにしなければならない」と述べている。(参照④)これは、児童図書館員の役割として必要な3要素「子どもを知ること」「子どもの本を知ること」「子どもと本を結びつける技術をもつこと」(参照⑤)の全てに当てはまる主張であろう。
おわりに
以前に娘と図書館の児童コーナーに行き、職員に質問をしたのだが、会話もなく冷たい対応をとられて親子で落胆したことがあり、職員のコミュニケーション能力が大事だと痛感した。子どもを理解することを怠れば、子どもは図書館から離れてしまうだろう。子どもと本を結びつけるためには、職員の持つ専門的な知識を子どもと会話しながら提供していくことが必要である。会話することで子どもは職員を信頼し、図書館を安心して利用できるのではないだろうか。
参考文献
参照① 日本図書館協会児童青少年委員会・児童図書館サービス編集委員会編
「児童図書館サービス1 運営・サービス編」日本図書館協会 2011年
参照② 赤星隆子・新井督子編著「児童図書館サービス論 新訂版」理想社 2009年
参照③④⑤ 小河内芳子編「子どもの図書館の運営」日本図書館協会 1989年
2017年11月提出、12月返却→不合格
2018年1月再提出、2月返却
<評価A>
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